第66回関西STOMA研究会開催報告
令和7年6月14日、奈良公園内の奈良春日野国際フォーラムにて第66回関西STOMA研究会を開催させていただきました。梅雨らしく時折激しく雨も降るあいにくの天気でしたが、285名の参加者にお越しいただきました。演題数も多くのご応募があり、一般・主題関連演題合わせて17演題、特別講演1題を能楽ホール内の能舞台上でご発表いただきました。特別な舞台での研究会は皆様の記憶に残る、充実した内容であったと思います。
今回のテーマは「“備えあれば憂いなし”のストーマケア」とさせていただきました。「備えあれば憂いなし」という言葉は災害対策をイメージされる方が多いと思います。日本各地で起こる大地震、集中豪雨により被災され、避難生活などを余儀なくされる中で、オストメイトの方はどのような支援を必要としているのか、医療従事者は何ができるのか。大災害を経験したことがない場合にどうやって災害対策を始めていけばよいのか。手探りで災害対策を始めている皆様の取り組みなどを共有し、初めの一歩を踏み出すきっかけやさらなる対策への一助になれば、と考えました。しかし、「備え」を行うのは災害対策だけではありません。私たちが日ごろの診療で行っていること、例えば手術前の検査、説明、患者さんの病状や家族背景・生活状況を把握してストーマケアにつなげていくこと、退院や連携に向けた話し合いなどはすべて「備え」です。備えていたおかげでスムーズな治療・退院・連携につなげられることがあれば、備えていたにもかかわらず予想外のことでうまく物事が進まないこともあります。今回は災害関係、症例、教育・連携など幅広い内容のご発表をいただき、とても勉強になりました。
特別講演は名古屋大学名誉教授の前川厚子先生に「オストメイトとともに築き上げていくリアルワールド」という演題でご講演いただきました。国際的にもご活躍されている前川先生がオストメイトへ寄り添いながら現実と向き合い、新たなことに挑戦されていることにとても感銘を受けました。私たちもオストメイトと向き合い、生活の質、治療の質を高めていけるように努力していかねばならないと考えさせられました。
企業展示においても、災害支援に関わるブースを設け、災害について少し意識をもっていただけるよう工夫いたしました。研究会の趣旨をご理解いただきご協賛くださった企業の皆様にもこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。研究会に向けてさまざまなことを想定して気を配り、ともに準備に励んでくれたスタッフ、奈良春日野国際フォーラムの関係者の皆様には感謝しても感謝しきれません。研究会終了後アトラクションでの中谷堂様の高速餅つきと美味しいつきたての草餅も含めて、楽しく有意義な研究会となったと思います。本当にありがとうございました。最後になりましたが、皆様のご健康とますますのご活躍を祈念いたします。
第66回関西STOMA研究会 当番世話人
稲垣 水美
テーマ
『~”備えあれば憂いなし”のストーマケア~』
当番世話人
社会医療法人健生会 土庫病院 奈良大腸肛門病センター 稲垣水美
会期
2025年6月14日(土)13時00分~ 16時55分
会場
奈良春日野国際フォーラム(奈良市春日野町101)
プログラム
13:00-13:05 | 【開会のあいさつ】 当番世話人 稲垣 水美 |
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13:05-13:50 | 【一般演題1:手術・症例検討】 座長 小山 文ー 奈良県立医科大学付属病院 河本 浩子 日の出診療所
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13:50-14:40 | 【一般演題2:連携・教育】 座長 横尾 貴史 土庫病院 奈良大腸肛門病センター 黒田 幸 市立奈良病院
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15:00-15:40 | 【特別講演 オストメイトとともに築き上げていくリアルワールド】 司会 吉川 周作 土庫病院 奈良大腸肛門病センター 渡邊 光子 関西労災病院 講師 前川 厚子先生 名古屋大学名誉教授、四日市看護医療大学・地域研究機構、誓護医療交流センター研究員 |
15:40-16:30 | 【主題演題:“備えあれば憂いなし”のストーマケア】 座長 久下 博之 大和高田市立病院 喜多 まり 天理よろづ相談所病院
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16:40-16:45 | 優秀演題発表 |
16:45-16:50 | 次回開催のご挨拶 |
16:50-16:55 | 閉会挨拶・終了 |