第52回関西STOMA研究会

 伝統ある第52回関西STOMA研究会を平成22年6月5日(土)に和歌山県立医科大学講堂で開催させて頂きました。この研究会は昭和56年に設立され、本年は30年目の節目に当たりますが、現在は年1回定期的に開催されており、今回で52回と歴史の深い研究会です。和歌山での開催は平成10年の第38回以来10年ぶりの開催となります。土曜日の午後の半日の研究会ですが、毎年その内容は充実し、ストーマ管理を行っている医療従事者にとって有意義な研究会といえます。
さて、近年、ストーマ造設術の進歩やストーマ管理の工夫、装具の改良に伴い、オストメイトのQOLは向上して参りました。しかしながら、ストーマに関連した合併症に対し、その対応に苦慮することも少なくありません。最近では、炎症性腸疾患の増加に伴い、これらの疾患にストーマを造設する機会も増加してきました。特にクローン病やベーチェット病などに対するストーマの造設・管理は時として困難を極めます。そこで、ミニレクチャーとして「ストーマ合併症に対する外科治療」について市立堺病院がんセンター長の福永 睦先生にご講義頂き、特別講演として社会保険中央病院の藤井京子先生に「ストーマ管理のコツとピットホール」について、特にIBDのストーマ管理についてご講演頂きました。また、和歌山という関西では南の端の遠方での開催にも拘わらず243名の先生方の出席を頂き、ストーマや創傷管理関係の8社から企業展示を頂戴し、一般演題も貴重な症例や興味深いストーマケアに対する10題のご発表を頂きました。会員の先生方には有意義な半日となったことと自負しております。今後、研究会で得た知識や議論した成果が実際の臨床の場で生かされることを切に望みます。

 最後になりましたが、本研究会開催にあたり、ご配慮頂きました会員各位に厚く感謝申し上げるとともに、会の運営を援助頂いた教室員ならびに教室秘書に紙面を借りてお礼申し上げます。

第52回関西STOMA研究会 当番世話人
和歌山県立医科大学第2外科 瀧藤克也

当日の様子

日時

2010年6月5日(土)13:00~17:00

会場

和歌山県立医科大学 講堂

特別講演

ストーマ管理のコツとピットホール
社会保険中央総合病院 看護局 藤井京子 先生

プログラム

13:00~13:10 開会の挨拶 当番世話人 瀧藤 克也
13:10~13:40 ミニレクチャー

司会
大阪市立大学腫瘍外科 前田 清

「ストーマ合併症に対する外科治療」
市立堺病院 外科 福永 睦
13:40~14:30 一般演題1

座長
兵庫医科大学第2外科 池内 浩基
和歌山県立医科大学看護部 木村 智葉
  1. 難治性のストマ脱出に対し腹腔鏡補助下に脱出腸管切除を行なった一例
     関西労災病院 消化器外科下部消化管グループ 中田 健
  2. 潰瘍性大腸炎術後のストーマ再々脱出に対し腹腔内への固定が有効であった一例
     大阪市立総合医療センター 消化器外科 瀧井 麻美子
  3. ストーマ造設後、壊疽性膿皮症の特徴的な症状を呈した一事例
     京都民医連中央病院 看護部 井上 桂子
  4. 結腸ストーマ直下に回腸ストーマを造設され短腸症候群を伴った1症例
     NTT西日本大阪病院 看護部 坂井 利帆
  5. 術後合併症によりイレオストミー造設を受けた患者のケア
    ~ストーマ造設部位の位置決定の重要性~
     綾部市立病院 田野邉 悦子
14:30~15:20 一般演題2

座長
健生会奈良大腸肛門病センター 吉川 周作
国立病院機構大阪医療センター 看護部 深井照美
  1. 独居で視力障害のあるオストメイトへの退院支援
     淀川キリスト教病院 看護部 康本 将士
  2. 高齢者におけるストマケア指導の問題点と対策
    ―経験症例の検討から―
     奈良県立医科大学消化器・総合外科学 石川 泰子
  3. 看護師のストーマケアに対する患者指導の統一に向けての取り組み
     和歌山県立医科大学附属病院 9階西病棟 田中 優子
  4. ストーマ受容を促すための取り組み
    ~オストミービジター制度の活用について~
     健生会土庫病院 松尾 麻由子
  5. ストーマ係の活動の効果と今後の課題
     大阪鉄道病院 4階病棟 志方 由夏
15:20~15:40 休憩
15:40~16:40 特別講演 「ストーマ管理のコツとピットホール -IBDのストーマ管理について-」

司会
和歌山県立医科大学第2外科 瀧藤 克也
16:40~16:45 閉会の挨拶 当番世話人 瀧藤 克也